実際に有った怖かった話 第二話     ホームへ

怖かった話の第2話を書くつもりでいながらあっという間に数年経ってしまいました。 春日井の渡邊さんに、催促されて書くことにしました(H22.9.7)

今でも、あの時のことは、はっきり覚えています。 それはやはり今から30年くらい前、まだ四万十市が中村市であって、市の東の入口、古津賀のトンネルが今より北側に有って、トンネル東口が今より急カーブで90度近く曲がっており、そこに古い自動販売機が有った頃の話です。ジュースの古い自動販売機、確かベルミーコーヒーの販売機だったと思います、上のほうに蛍光灯が1本だけあって上の方だけ薄明るく下のほうは真っ暗な白い自動販売機だったと思います。

さて話と言うのは、初秋の頃の雨がしとしと降る夜中の事です。 やはり私がタクシーの運転をしていると本町のYというお店に配車がかかりました。 着いてみると、顔なじみのお姉さんが白っぽい和服を着て、お客様2人を玄関に送り出していました。待っていると「大事なお客様だから家まで一緒に送って行くので、乗せてください」というのです。乗られると帰りに東方面のお客様を実車できないなと思いながらも、顔なじみで住まいも近所のお姉さんだから仕方ないか、と割り切って3人を車の後部座席に乗せて出発しました。 お客様を送る時間だから恐らく12時近くだったように思います。「このお客様は早咲のお客様だから往復40分も有れば帰ってこれるでしょ」と言う事です。ところが トンネルの近くまで来るとそのお姉さんが「気分が悪くなってきた。吐きそう」と言い出したのです。「こんなところで・・困ったな。もう少し辛抱できませんか」 「辛抱できん、どこでも良いから降ろして」と言うでは有りませんか。雨もしとしと、とは言え降っているし傘も持ってない様だし、弱ったな車の中で戻されるのも困るしと、なだめすかしながらトンネル近くまで来た時「停めて、もう我慢できない。この先のトンネルの中なら雨も降らないし、濡れる事も無いので降ろして!!お客様は早咲までだからすぐ帰って来れるでしょ。早く降ろして」と言うので、仕方なくトンネルの入口でお姉さんを降ろしました。それから2人のお客様を乗せたまま、ひたすら早咲へ向かいました。 トンネルから早咲までなら深夜のことですから10分もかからないでしょ。と言う事で早咲に着いてお客様に降りて頂いた所、もう一人のお客様が降りないのです。「お客さま、着きましたよ」「いや私の家は湊川です。湊川まで行って下さい」と言うのです。ここから湊川というとまだ片道20分以上はかかる、往復すると40分。トンネルまでだと50分以上かかる。困ったな〜と思いながら、お姉さんには気の毒ながら仕方ないから湊川までお客様をお送りしました。料金を戴いた後、待っているだろうな〜と思いながら急いでトンネルまで引返してきました。そうするとトンネル手前のカーブの自動販売機の前でお姉さんが待っていました。ドアを開けると、泣きじゃくりながら乗ってきて言いました。「気分が悪くて車から降りて、戻したまでは無我夢中だったけど、戻した後で気がついてみると、とんでもない所に居る自分に気がつきました。深夜、山の中のトンネルの中で外は雨もしょぼしょぼ降っているし、襲われたらどうしようとか言うよりも、とにかく怖くて怖くてたまらない、さっきの車はすぐに帰ってくると待っていたけど、待っても待っても帰ってこない。てっきり忘れられたか、置き去りにされたと思って、暗いトンネルの中は怖いからトンネルから出て、自動販売機の有る明るいところで、誰でも良いから早く連れて帰って貰おうと、来る車に手を振っても、何台も車もタクシーも通るのに、誰も停まってくれない。停まるどころか、かえってスピードアップして走り去って行く。誰も乗せてくれない。困って、どうしようかと泣いていたらやっときてくれた。どうしてこんなに遅かったの?」と泣きながら言うのです。理由は「早咲のお客様だけじゃなくもう一人のお客様は・・・・」と説明しながら帰ってきました。 話と言うのはこれだけです。これが怖い話かどうか・・・・・ ところが翌日 中村駅構内で大変な話になっていました。「昨夜幽霊を見た」という運転手が何人も居るのです。話を聞いて見ると、「夜12時過ぎに古津賀のトンネルの東口で白っぽい着物を着た女の幽霊が、おいでおいでと手を振って呼んでいた。」と言うのです。 「最初、人が立っているのかなと思ったけど、よく見ると上半身は白っぽい着物の女の人で、下半身はボーっとして、見えないし、こんな深夜に、こんなところに、しかも雨がしとしと降っている夜中、普通の女の人がこんな所に居るわけは無い。そう思うと背中に冷や汗が流れて、もう車を停めるどころじゃない。急カーブだけど、とにかく早くこの場から逃げなきゃと、必死でスピードを上げて帰ってきた、今までの人生で一番怖い思いをした」と言うのです。 話を聞いて ・・・・もちろん 思い当たることですが、せっかくの一生に一度の経験を無駄にさせては申し訳ないと思い。「それは大変だったね」と慰めながら、「それは実はネ」とは、今に至るまで説明していません。黙ったままにしています。 これは見た人には大変怖いことだったかも知れませんが、舞台の裏側に居た人間には 笑い話のようです。

しかし次の話はこんな話ではありません。怖いと言うか気持ちが悪いと言うのか、え〜〜ホント?と言う様な恐ろしい話だったのです。

実際に有った怖かった話 第一話

あれは今から20年以上前の初冬の寒い小雨の降る深夜のことでした。まだ私が30代前半の頃のことで、この町の北方約10Kの蕨岡の桃が市というバス停のあたりまでタクシーでお客さんを乗せて行ったその帰り道の事でした。

夜中の1時過ぎに町で若い男のお客さんが乗ってきた。「お客さんどちらまでですか」「蕨岡まで」「なんだO君じゃないか」「あーUさん」「そうか君の家は蕨岡だったのか」と言うことで、町を北に進み四万十川の支流の後川橋を渡り広い田んぼの中の道から、山沿いに走り、そして山あいの川沿いの狭い道を通り上り坂に差し掛かった頃上向きになった車のライトで山の畑の横の墓石が雨に濡れて反射する。「このもう少し先です」「この先って・・人家なんか無いじゃないか」「いやこの道の下の川沿いに家があるんです」「そうだったのかずいぶん淋しいところに住んでるんだな」と言いつつ二千円何がしのタクシー料金を貰い、道が狭いので少しそのまま山の奥に進み少し広くなっているところでハンドルを切り返しながら何気なくさっきO君が降りた場所まで戻ってきた。そして日報に記入し終わり、さあ帰ろうかなと車を動かしかけると車の左後ろでコンコンとかすかにノックをする音がする。んん??確かノックをしたような、何か忘れ物でもあったのかなO君。少し雨が降ってるが自動ドアを開けた「何 忘れ物?」返事が無い。あれ変だな確かノックしたように思ったけどな。おかしいな〜気のせいだったのかな。違ったかーじゃあ帰ろうかと車を動かし始めるとまたコンコンとノックが、O君いたずらしてるな!!ドアをまた開けて「はいはい何ですか?忘れ物なら 座席見たけど無いみたいだよ。もう夜も遅いし帰るよ」と言って見回すが人気が無い、どっかに隠れてるなと小雨が降る中を車の周りを一回りしてO君を探す。変だな 居ない。「まさか車の下に隠れるわけは無いよな〜」とタクシーの下を覗く。隠れていても足を見ればどこに居るかわかると思って見回すが足も見えない。おかしいな〜〜?再び車に乗り発車しようとするとコンコンまたノックの音、何なんだ?まさか、そんなこと有るものか、変だなと、もう一度車の中を見回すが当然誰が居るわけでもない。なんか気持ちが悪いな。さっさと帰ろうと再度車を発車させようとしたところ、またコンコン!! ゾ〜〜〜〜 背筋に水をかけられたような感じ、うそだろう!!!そんな事あるわけが無い!!あるわけ無いよ!

しかしそれからはもう恐怖〜恐〜怖〜恐〜〜怖〜〜ああー首が動かない。後ろを見ることが出来ない。怖いと思った時が恐怖の始まりでした、早く明るい所まで帰らなくては。もう必死で狭い山道を、前だけ見ながら50K近くのスピードで突っ走る、気のせいか後ろの座席に誰か座っているような気もしてきた。夜中にタクシーでお客さんを乗せて話をし、降りる時見ると、その客さんが居なくて座席シートに水が溜まっていた、などという恐怖話が頭をよぎる。そんなんじゃないよな〜勘弁してくれよ〜〜。少し広くなった国道に出てからはもう時速100Kは出てるのではないかと思うほど命がけで前だけを見て運転!!バックミラーで後部座席を確認したい。誰も居るはずが無い!見てみようか!でも、もしバックミラーに誰かが写っていて目と目が合ったらどうしよう!!怖い〜〜。冷や汗も出てくる。首も後ろを向けない目も前しか見えない、ハンドルを握る両腕と肩も動けないほど重い。死ぬ様な思いで約15分運転した時間の長いこと長いこと同じ所を何回も走っているんじゃないかと思うほどの時間の長さ。街の明かりが見え始める後川橋までたどり着き、やっと街の京町5丁目の防犯灯の元まで着いた。街中まで帰ったらもうこっちのものだ。必死の思いで首を動かし、やっとバックミラーで車の中の後方をみた。誰も居ない!!当然だ。車を止めて振り返る。首も回った。やっぱり誰も居ない。良かった〜〜ほっとした。しかしさっきのあのノックの音は何だったんだろう?

まっ良いか。あんな事は無かった事にしよう。音は聞かなかったことにしよう。帰って風呂入って寝よう。と車を発進させようとすると再び後方でコンコン・・・・・・かすかに音も無くノックの音が。もう今度は町の中、怖い物は無い、何の音だ!っと後ろを振り返る。するとかすかに人が居たかのようにシートベルトがゆらーりゆらーり。そうもうお分かりかもしてませんが昔のシートベルトは今と違って自動巻き取りに成ってなかった為金具がぶら下がった状態だったんです。これがなんかのはずみでスピードが丁度になった時金具がかすかに揺れるんですね、これが窓ガラスに当たると コンコンとノックのような音を出してたんです。これだったのです原因は。これ怖い話でした?ところが次の話はこんな程度じゃなかったんです。次の話しと言うのは・・・・